黒板を爪などで引っ掻いた時のあの音が不快な理由

黒板を爪で引っ掻いた時のあの「キーッ」という音は多くの人が不快に思うと思います。実際に音がしていなくてもイメージしただけで鳥肌がたって背筋がゾワッと寒気がします。。。
あの音は9割以上の人が不快に感じるそうです。

他にもフォークで皿をひっかく音、発泡スチロールが擦れる音、マーカーペンのキュッキュッという音が嫌いという人もいます。
あの不快音を聞いて寒気を感じる事について最初に考察したのは古代ギリシャの哲学者アリストテレスだったという説もあります。

人の好き嫌いを決めるのは脳の中にある扁桃体という器官の役割で、扁桃体は、下等な動物から霊長類などの高等せきつい動物すべてにあり、脳に入った情報から、様々な感情を処理しています。

◆説その1 ~ 遺伝子の記憶 ~

まだ猿の頃の記憶

人の祖先であるサルが仲間同士の連絡に鳴き声を使っており、その中の「危険を知らせる音」と黒板を爪で引っ掻く音の周波数が似ている事が原因だという説があります。

何も意識していなくても本能的に潜在的に感じるため、抗うことのできない不快な音として感じるのですね。

長い進化の過程の中の遺伝子に刷り込まれた記憶から起こる反応だったなんで意外です。

◆説その2 ~ 捕食者の発する声 ~

まだ文明がなく人が野生生活を送っていた頃の捕食者の発する声(金切り声の様な?)に似ていて、それが何かの危険に晒されているという判断を脳がしているという説があります。

◆可聴域 ~ 強い不快感を感じるエリアは? ~

ヒトは通常、下は20Hz程度から、上は(個人差があるが)15,000Hzないし20,000Hz程度までの鼓膜振動を音として感じることができ、この周波数帯域を可聴域といいます。
出典 wikipedia

不快な音

人間が不快に感じる音は可聴域の中間領域で、最も強い不快感を呼びおこすのは、2,000~4,000Hzの周波数帯なのだそうです。

この周波数帯の音は、特に外耳道の中で増幅されやすいという報告もあります。

人が会話をする時の平均的周波数は150~7000Hz程度なので不快な範囲を含んでおり、この不快な周波数帯を取り除くと、聴きやすくなったり、不快感の軽減になるようです。

◆実験 ~ 意外な結果が!? ~

2つのグループに同じ不快な音を聞かせるという実験があります。
一方には音源が「黒板をひっかく音」と説明、もう一方には音源が「現代音楽の楽曲」だというウソの説明をして音を聞いてもらいます。実験の結果、ウソの情報を聞いたグループのほうが不快感は少ないという結果が出たそうで、この事から思い込みも影響しているのは間違いなさそうです。

しかし!!!
脳は騙されても身体は騙せないようで、心拍数、血圧、発汗量、皮膚の電気抵抗などは、どちらのグループも同じように不快を示したそうです。

◆ミラーニューロン???

ミラーニューロン

黒板の不快音を聞いたことで、何か身の危険があったという人はおそらくいないと思いますが、人は学習する生き物ですので、実際に危険がなければ感覚も変わってきそうなものです。音と心地よい経験が紐づけば不快では無くなる?のかもしれません。

実際に危険を伴う音で近そうなのが、例えば、ガードレールに車(金属)が擦れる音であれば事故に繋がりますし、歯医者さんで歯を削る音は危険は無くとも嫌なイメージと結びつきます。

私たちの脳にはミラーニューロンという神経細胞があり、この細胞は「ものまね細胞」「共感する細胞」と呼ばれています。実際に体験していなくても「黒板を爪で引っ掻く」をイメージしただけで不快に感じたりするのは、ミラーニューロンの共感による作用だそうです。

目の前で人が転ぶのを見て、思わず「痛っ!」と言ってしまったり思ったりするのもこの共感ですし、映画を見て感情移入してしまうのも同じです。

◆モスキート音

モスキート(mosquito)は蚊の事ですが、夏場に耳元で聞こえる蚊の飛ぶ音の様な高い音をモスキート音(17,000Hz)といいます。
老化すると高い音が聞こえなくなると言う話を聞いた事はありませんか?
周波数の高い音は年齢とともに徐々に聞こえ難くなります。17,000Hz前後の周波数の高い音は、個人差がありますが、20代前半くらいまでしか聞こえないそうです。
年をとると周波数の高い音が聞こえにくくなるので、不快が緩和される人もいます。

耳年齢チェック(周波数の高い不快な音が出ます。音量に注意して下さい)

◆後天的な理由

誰もが不快に感じる音だけでなく、幼少期に体験した「怖い事」「嫌な事」と同時に聞いた音がトラウマとなり不快に感じる人もいます。

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